「正しいことばより、やさしいことば」
「あんな、年寄りはな やさしい言葉かけてほしいねん。正しい言葉はいらんねん。」
(『99歳 ちりつもばあちゃんの幸せになるふりかけ』より)
いつのころからか、新聞の文字は読みにくくなり、いろいろなフタがあけにくくなり、靴下がはきにくくなり、歩幅が狭くなってぽたぽた歩き、何ごとにも時間がかかる。
早起きするようになった分、昼はうとうとが常態となり、楽しみにしていたミステリー番組も、途中経過は夢の中、
いつのまにか犯人がつかまっている! なんでそーなるの?!
そんな老いを実感する日々。
年を取ったせいか性分なのか、
アレも忘れ、コレも忘れ、あのミス このミス日 が暮れて♪
今来たこの道さえわからなくなるのではと不安が募る毎日です。
そんなある日、5歳になったばかりの孫から電話で「ちゃま誕生日おめでとう」(姑息にもおばあちゃんでなく「ちゃま」と呼ばせています)と言われ、わたしもとうとう後期高齢者の仲間入りをしたことを実感しました。
少し前「後期高齢者医療保険者証」という画数の多い漢字がならんだ長ったらしい名称の保険証を受け取っていたので、今更おどろくこともないのですが、私もそういう歳になったかと、万感の思いを噛みしめた日でもありました。
ミスやもの忘れをたしなめられる日々、フト浮かんできたのがちりつもばあちゃんのこんなことば。
「年寄りはな やさしい言葉かけてほしいねん。正しい言葉はいらんねん。」
その通り! ホントに身に沁みます。
『99歳 ちりつもばあちゃんの幸せになるふりかけ』たなか とも 著
定価(本体1000円+税)
全国書店、ネットにて発売中。