★ハーさんは負けず嫌い ウチのちりつもばあちゃん その2
夫が小学生だったころのこと。 母であるうちのちりつもばあちゃんことハーさんは、 一学期の級長になれないと「どげしたことかいねえ」 玄関先の土間に転がってくやしがったそうです。
またたとえ病気であっても学校を休むことを許さず( ハーさんの姉妹はみんな皆勤賞をもらっていたとか)、 夫の話ではおたふく風邪になったときも「ふくらすずめ」( 寒さをしのぐため羽毛をふくらました雀のこと) のように何枚も服を着せられふくれあがった上に「 休み時間に食べえだわ」と水蜜桃までポケットにねじ込まれ、 近所の人に頼み込んでネコ車(猫が押すわけではありません! 野良作業用の一輪車の手押し車のことです)に夫を乗せ登校。
クラスメートにおたふくがうつらないか、 など人さまの迷惑はとりあえず考えない。
とにかく学校を休むとことに対して強烈な恐怖感、 罪悪感をもってしまう時代だったのか、 何が何でも登校させてしまう今は昔の親力にただただびっくりするばかりで、おそれいるしかないのですが。
学校といえば運動会の父兄参加競技のスプーンレースに母が出ることになって、さあ大変。
負けず嫌いのハーさんは家の庭でひそかに毎日ピンポン球をスプー ンに載せて猛練習を重ね、満を持して出場。
練習のおかげで初めはトップを切って走っていたのですが、 ゴール寸前にナント!一陣の風が吹いて、 ピンポンの球はスプーンからハラリと落ちてしまい、 猛特訓も水泡。
半世紀以上も前の話なのに、思い出すたび、
「 あーちゃいやだわ なんで風がふいたかね」と昨日ことのように地団駄踏んで悔しがるのでした。
五人姉妹の間で培われた競争心、負けず嫌いで99歳の一生を生き抜いたウチの99歳ちりつもばあちゃんです。