ついつい見てしまうNHK「朝ドラ」。
九月までは日本で初の裁判官になったという女性を主人公にしたドラマ「虎と翼」でしたね。
主人公寅ちゃんのモデル三淵嘉子さんは、1914年(大正三年)生まれで、寅年しかも36年ごとにやってくる「五黄の寅」とのこと。
このことで、思い出すのが偶然にも同じ年生まれで99歳で亡くなったのウチの寅ちゃんこと姑のハーさん(姑はそう呼ばれていましたので以下同)です。
もし姑が存命であれば、この「寅ちゃん」のドラマには嵌まりにはまっていたにちがいありません。
「五黄の寅」は、強運の持ち主が多いとか。
姑はそのころとしては珍しい「女学校」出で、しかも五人姉妹全員そろってだそうです。八十年以上も前に卒業した女学校の同窓会の案内状を嬉しそうによく見せてくれました。
そして“寅ちゃんの偶然”ですが、さらにあります。
ハーさんが嫁いだ先の舅は、なんと三淵嘉子さんが学んだといわれる明治大学の法学部出身だったのです。
しかも、舅はすでに教師であり妻子持ちだったにもかかわらず、家族を故郷に残し上京、法学部(そのころは明治法律専門学校と言われていたらしい)に入学、卒業後検事さんになったのだそうです。
しかも舅が法律家を目指したその動機にはもっとびっくり!です。
「街で食べたすき焼きがあまりに美味しくてこんなものを毎日食べられたら」と思ったからなんだそうです。
そんな“言い伝え”が残ってはいるものの、当のご本人はこの世の人ではないので確かめる術はありません。
その検事さんの息子と結婚することになるハーさんの話によると、その頃は婚約していても結婚式まで相手の顔を見ることが許されなかったのだそうです。
私もそうとう古い人間ですがさすがにそんな話は聞いたことがありません。
しかしどうしても顔を見たかった母は、実家の質屋でタバコも売っていたのでタバコを買いに来てもらうことでチラッと顔を拝むことを許されたのだそうです。
そして無事結婚。満洲に渡るのですが、その地で一人息子を出産、戦争がはじまる直前に日本に戻るという離れ業的幸運は五黄の寅の強運のおかげだったのでしょうか。
そして満洲生まれのその男の子は長じて私と結婚するわけです。
ところで私は寅年生まれではありませんが、なんと三淵嘉子先生とお誕生日の月日が同じでした。これが三つ目の「ちょっとびっくり」の偶然。
九星占いによると五黄の寅年生まれの女性は強運の星のもと生まれてくるのでどの分野でも“存在感”のある女性として活躍された方が多いそうです。
以前このブログで紹介したこともありましたが、姑も思いおこせばそう感じることが多々あったような気も‥‥。
世に出て活躍したわけではありませんが。
ところで一番びっくりしたのは次の四つ目の偶然です。
主人公寅子と同じ学校で法学を学び、寅ちゃんとの結婚も意識した花岡という判事が登場しますが、戦後判事という立場から闇米を食べることを拒絶して亡くなるという壮絶な生き方をしたエピソードがドラマでも描かれていました。
この花岡のモデルになった判事が、なんと高校時代の同級生の父上だったのです。ネットでそのことを知り、高校時代からの友人に電話で確認するとこともなげに「そうよ」と言われ、あらためてびっくりしました。
この闇米を拒否した判事さんの息子が彼だったということはクラスメートの間でも知る人ぞ知るという感じであったとしても、忘れられない話として語り継がれて来たのだと思います。
思いがけない偶然に驚きながら、法曹の世界を拓いてきた女性の生き様に
個人的には婚約者の顔すら見ることを許されなかったという姑の話を重ね合わせたりしながら、どんな時代をも自分を大切にしどんな境遇にあってもしっかり生き抜く女性たちについていろいろ考えさせられるドラマでした。
「原爆裁判」などもっとよくもっと深く知りたいと思ったりもしましたが、朝ドラでは重すぎるのかな。
ところで十月から朝ドラ史上最高傑作とも評される「カーネーション」の再・再放送が始まりました。毎朝とっても楽しみです!
何度見ても変わらず面白く、尾野真千子の千変万化する演技にワクワクし魅了されています。
それになんと言っても渡辺あやの脚本の素晴らしさ!
またこのブログに書かせて貰おうと思っています。