80歳 現役編集者の “徒然なる我儘に”

じゃこめてい出版の最年長編集者が手掛けた書籍の紹介と思い出の日々を綴る。人生の編集日記。

リハビリは難行苦行 パート3 秋日和リハビリ散歩

秋日和金木犀の匂い満ついつか来た道夫(つま)と連れ立ち  

 

暦の上では、そろそろ秋も深まりという今日この頃のはずでしたが、台風(と真夏日)が毎週のようにやってきて、秋晴れの行楽シーズンが、毎日天気予報と空を睨めっこという方が、多かったのではと思います。

久しぶりに今日は、申し分のない秋晴れの空を拝めました。

目下パーキンソンで自宅療養中で、モサモサと自主リハビリをしたりしなかったり。

相変わらずお出かけ嫌いの私ですが。

でも、親孝行(不幸?)の息子がやってきて、寝起きの私の手をとり、有無をいわさず散歩に連れ出してくれました。そして今散歩から戻り、パソコンに向かっているという訳です。

 

以下は昨日の話になります。

現在のわたしの介護状況は、週一回クリニックのリハビリ施設に通い、四十分ほどリハビリを受け、月1,2回そのクリニックで医師の診察を受けています。

それにプラス、介護支援の一環として、市の包括支援センターで紹介してくれた訪問リハビリも、週に一回受けています。 

要するに、週2回自宅とクリニックの二箇所でリハビリを受ける、という状態が2ヶ月ぐらい続いているわけです。

薬が効いているのはもちろんですが、この週2のリハビリもやはり効果はすごいと、実感するこの頃。

 

  今日は行楽にふさわしい秋日和、しかも訪問リハビリの日です。

室内で通常行ういくつかのリハビリを終えると、療法士さんから

「それでは散歩に行ってみましょうか」 

  これもまた「こともなげなる」散歩のお誘い。

ということで、逡巡は許されず!? 行ってきました。1階にある集合ポストに(居住は9階です)往復20分ぐらいかけて!

マンションを半周したぐらいの距離ですが、これくらいでも結構疲れ、難行苦行寸前になります。体調は元どおりにとはいかず、まだまだということなのでしょう。

  

4ヶ月前に転んだ石畳を歩く時は足がすくみました。

マンションの入り口にある大きなガラスの扉に映る、孫の年齢に近い、若々しい療法士さんとならんで歩く白髪の老婆で、かつ子供みたいに小さいわが姿を見て、

OH, MY GOD!!でした。

でも、このリハビリ散歩で、外出しなければ味わえない、季節の移ろいを肌で感じることができました。たった20分の散歩で大袈裟な、と言われるかもしれませんが、現在ほとんど引きこもり状態のわたしの実感です。

 

散歩中療法士さんから「わーっ、金木犀のいい香りがしますね!」とうれしそうに言われたのですが、病気のせいでわたしの嗅覚はほぼ失われていて、其の香りを味わうことができません。

残念至極でしたけど、一緒に歩いてくれる療法士さんが、私の代わりにこういう形で季節を感じてくれていることが、なんとなく嬉しく、金木犀が心の奥から香ってくるような気がしました。 

歩行のリハビリをうけながら、爽やかな風がかすめていく快い肌ざわり、木々のざわめき、季節の変化を肌で感じ、匂いを記憶でたどり、おしゃべりしたりしているうちに散歩も終わり。 こういう会話ができるのもリハビリ散歩ならではです。

 

2年前の秋は、夫がどんなときでも、いつも隣を歩いていました。

そう思っただけで、胸に熱いものがこみあげてきます。

でも、夫も嗅覚が鈍くなっていたので、金木犀の匂いはわからなかったかもしれません。

ということで夫も一緒に、秋日和散歩がわずかな時間ながら、楽しめたはず。久しぶりで、身心ともに快い充足感で満たされました。